契約書で見落としがちな重大ポイント4
再委託に関する規定

契約書で見落としがちな重大ポイント4
再委託に関する規定

契約書で見落としがちな重大ポイント4 再委託に関する規定

契約書に記載した再委託に関する規定は、確認していますか?

再委託に関する規定は、再委託した側に責任問題が発生することがほとんどであり、また再委託をするにしても一定の条件が発生していることもあります。

この機会に、再委託に関する規定がどのようになっているかを確認していきましょう。

はじめに

会社の業務が拡大し、その仕事の量や種類が増えてきますと、自社だけで行うことが難しくなり、外部へ委託する場合も増えてきます。

それは外部から委託された業務であっても例外ではなく、受託した業務をさらに別の業者に再委託することがあります。

しかし、この再委託については、一歩間違うと大きなトラブルになる可能性を秘めています。

最近、市から再々委託された業者が、市民の個人情報が入ったUSBフラッシュメモリーを紛失するという事件がありましたが、再委託というのは、業務に関わる人間が増えて便利になる反面、思わぬトラブルが生じる危険性もそれに比して多くなってきます。

そうしたトラブルを未然に防ぎ、万が一トラブルが生じてしまった場合でも適切に対処して損害を最小限にとどめるためには、やはり法律の知識ときちんとした契約書が不可欠です。

この機会に、再委託に関する法律と契約書上のポイントを押さえてしまいましょう。

まずは民法のルールを押さえる

再委託が問題となる業務委託契約の種類

まず、再委託が問題となる業務委託契約には、主に「請負契約」「委任契約」の2種類がありますが、それぞれ再委託に関する法律上の規定が異なっています。

請負契約では再委託は自由

まず、請負契約では再委託は原則自由です。

請負契約は、例えば会社の業務上のシステム開発をエンジニア等に委託する契約や、建物の建築を建築会社に依頼する契約のように、「請負人が仕事を完成すること」を目的とした契約です。

したがって、別に誰が仕事を行おうと完成させてくれさえすれば良いわけですから、再委託は自由なのです。

※ただし例外的に、建築の請負契約では、下請法上、一部の例外を除いて、一括の再委託つまり「丸投げ」は禁止されているので注意が必要です

委任契約では再委託は一定の条件あり

「委任契約」は、例えば、コンサルタントにコンサルティング業務を依頼する契約や、弁護士に事件の処理を依頼する契約のように、「一定の事務処理行為を行うことを約する」契約です。

このように、受託者自身を信頼して業務を任せているわけですから、おいそれと別の人間に任せられては困ります。したがって、委任契約における再委託は「委任者の許諾を得たとき」、または「やむを得ない事由があるとき」でなければ、できません。

誰に再委託するか、どの範囲で再委託するかについては自由

以上のように委任契約では一定の条件がありますが、再委託できるとなった場合、誰に委託するか、どの範囲で委託するかは自由です。

再委託先の落ち度は受託者の落ち度とみなす

例えばAからBに業務を委託し、BがCに再委託した場合、Cの過失によって業務が遂行できず、Aに損害を与えた場合、BはAに対して責任を負います。Aからすれば、自分でCに依頼したわけではなく、Bの判断でCに業務をやらせたわけですから、Aとの関係ではBがCの業務上の責任を負うのです。

逆に言えば、Cへの再委託がAの指示に基づく場合は、BはAに責任は負いません。

再委託に関する契約書の書き方を押さえよう

上記で記載した再委託に関する法律上の規定を踏まえて、契約書における具体的な書き方を見ていきます。

そもそも全く契約書に書かない場合もあるがリスクあり

まず、そもそも契約書に(再委託に関する定めを)全く書かないという場合もあります。

そんなことができるのかと思われるかもしれませんが、契約書に何も書かない場合、上記の通り法律上のルールに従うことになるので、そうしたルール通りで良いなら別に契約書にわざわざ書く必要はありません。契約書はあくまで法律上のルールとは異なるルールを定めたい場合に意味をなすものだからです。

したがって、契約書に何も書かない場合でも契約書自体は有効となります。

しかし、上記の通り法律上は、請負契約か委任契約かで扱いが異なっています。

請負契約と委任契約は、法律上は別の契約類型とされていますが、業務委託契約では、請負と委任どちらの契約なのか判別が難しい場合も多く、また2つの性質を持つ場合も多々あります。

また、上記の通り「どこに再委託するか」「どの範囲で再委託するか」については完全に自由となりますから、元請の委託者にとっては、完全に自分のコントロールを失った状態で業務が進んでしまうリスクもあります。

再委託の可否や条件をはっきりと書く

以上のようなリスクを回避するために、まずは再委託の条件や可否をはっきりと決めましょう。これらには様々なパターンがありますので、一番適切な内容で定めることが重要です。

    【全面禁止にするパターン】

    乙は、本件業務を、いかなる場合も第三者に再委託することはできない」

    【全面的にOKとするパターン】

    乙は、自己の判断で本件業務を自由に第三者に再委託することができる

    【条件付きでOKとするパターン】

    乙は、事前に甲の承諾があれば、本件業務を第三者に再委託することができる

委託先や委託の範囲についても、必要があれば条件や制限を設ける

上記の通り、法律上のルールでは、委託先や委託の範囲をどうするかは自由ですが、これについても、例えば以下のように、必要に応じて条件や制限を設けるのも良いでしょう。

    第三者に再委託する場合には、甲と同一県内の会社とする

    第三者に再委託する範囲は、本件業務のうち〇〇に限るものとする

その他、再委託する際の条件も必要に応じて定める

その他、例えば以下のように秘密保持の義務を負わせる内容もあります。

    乙が第三者に再委託する場合には、第〇条に定める乙の秘密保持義務を含めた乙の義務と同等以上の義務を負わせるものとする。

また再委託費用の下限設定(※低廉だが質の悪い業者への再委託を防ぐため)の内容、等々、必要な範囲で必要な条件を設けるようにしてください。

    乙が第三者に再委託する場合には、その再委託の費用は〇〇円以上とする

責任の所在を明確にする

上記の通り、法律上は再委託先の落ち度によって委託者に損害を与えた場合、再委託した受託者側の責任となります。

しかし、これについても、もし「責任の範囲を限定したい」ということでしたら、例えば以下のような規定を設けることも可能です。

    再委託先の故意または過失によって甲(※委託者)に損害を生じさせた場合、乙はその損害を賠償する。ただし乙が再委託先に適切な監督をしていた場合はその限りではない

もちろん、これは受託者側にとって有利な規定であり、逆に委託者側にとっては不利な内容となりますが、契約書では法律上のルールとは異なる定め方をすることも可能であるということを念頭に置いた上で、それぞれ契約相手と交渉して、少しでも有利な内容の契約書が締結できるようにすることが大事です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

冒頭の通り再委託は、トラブルが生じやすい場面ではありますが、うまく行えば、業務の幅と規模を広げ、さらなるビジネスチャンスや取引先の獲得を得られるチャンスでもあります。

この機会に、適切な再委託の定めを設けた契約書を活用し、さらなる会社の発展に役に立てていただければと思います。

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