もうすぐ夏休み!
会社の休日と休暇の設定、管理は大丈夫ですか?

もうすぐ夏休み!
会社の休日と休暇の設定、管理は大丈夫ですか?

もうすぐ夏休み!会社の休日と休暇の設定、管理は大丈夫ですか?

梅雨が明ければ、もうすぐ夏休みが始まる季節となりました。

大型連休となりやすいこの時期だからこそ、休日や休暇の設定、そして管理について考えてみませんか?

様々な法律的観点から日数などが決まっておりますので、今一度見直してみてください。

はじめに

7月に入り、いよいよ夏本番の季節となりました。

7月や8月のお盆の時期に、夏休みや夏季休業期間を設けている会社も多いと思います。

夏休みは、年末年始やゴールデンウィークと並び、一年のうちで長い休み期間となる1つでもあります。

近年はコロナの影響で遠出をしたり、旅行をしたりといったことはまだまだしづらい状況です。それでもせっかくの休みですから、楽しく充実したものにしたいところです。

しかし、会社の休日や休暇については、きちんとした法律の定めがあり、これに違反すると思わぬトラブルになり、せっかくの夏休みが台無しになってしまう可能性もあります。

この機会に、休日や休暇に関する法律を押さえてしまいましょう。

夏休みに法律の定めはないが、休日や休暇については法律の定めがある

実は夏休みそのものについては特に法律で何かが決まっているわけではありません。

しかし、以下で述べるように、休日や休暇については法律の定めがありますので、まずこれを押さえておく必要があります。

「休日」と「休暇」は似て非なるもの

休みの日は、大きく2つ、「休日」と「休暇」に分けられます。

この2つは似ている言葉で、どちらも就業規則で定めなければいけない点は共通していますが、法律上の位置づけは、以下の通り大きく異なります。

休日とは

まず「休日」とは、法律上そもそも労働義務が課されていない日のことを指します。そして、休日には、以下の2種類があります。

    「法定休日」

    「法定外休日」

法定休日

労働基準法の35条では、週に1日以上の休日、または4週間で4日以上の休日を与えることを義務付けています。(労働基準法35条)

これが「法定休日」と言われるもので、この休日は、そもそも法律上労働義務が課されていない日となります。

法定休日は、労働基準法が定めた最低ラインの休日日数があり、これより休日を少なくすることはできず、違反した場合は6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる場合があります。(労働基準法119条1号)

法定外休日

次に「法定外休日」とは、その名の通り「法定休日以外の休日」のことで、会社が任意に設定する休日のことです。

ただ、「任意」と言っても、以下のように、必然的に「法定外休日」を定める場合も生じます。

どういうことかというと、ご存知の通り、労働基準法では「1日の労働時間は8時間、1週間の合計が40時間以内でなければいけない」(労働基準法32条)と定められていますね。

とすると、例えば一日フルで8時間の労働をさせる場合、週の上限が40時間なので、労働日は週5日ということになり、必然的に残り2日は休日にしなければならなくなります。

したがって、法定休日としては週1日の休日で良いところを、もう1日休日を定める必要が出てくるわけです。多くの会社が週休2日制を取っているのは、実はこうした仕組みがあるからです。

法定外休日自体は会社が任意に定めるものですが、もし法定外休日を設けなかったばかりに「1日8時間、週40時間」という労働時間の上限を超えて労働させた場合は、同じように、労働基準法違反となり、使用者に「6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」の罰則が課される可能性があります。

しかし反面、例えば1日の労働時間が6時間である場合、労働日が週6日だとしても、計36時間の労働時間ですから、週の上限40時間以内はクリアしています。この場合は法定休日として残り1日を休日として設定すれば良いので、2日にする必要は無くなります。

休日は必ず土日祝日になるわけではない

以上が休日についての説明ですが、これは何もカレンダー通りの休日(土日祝日)と同じにしなければいけないわけではありません。

上記労働基準法上の定めに違反しない限り、月曜日や火曜日を休日として定め、土日を労働日として設定することも問題ありません。

休日に出勤させるには厳格な条件と負担がある

また、休日に出勤させることもできなくはないですが、その場合、労働者と会社の間で、いわゆる36(サブロク)協定という労使間の協定(時間外、休日労働に関する協定届)を締結しなければならず、また出勤させた際には、休日手当や割増賃金を支払い、さらに代休(振替休日)を設けなくてはなりません。

「休暇」とは

次に休暇とは「労働義務を負っているが免除されている日」のことです。

休日のように「この日はそもそも働く必要がない」と決められた日ではなく、本当は働く必要があるけど、申請等を行うことでその義務が免除される日のことを指します。

そして、この休暇についても、以下の2種類があります。

    「法定休暇」

    「法定外休暇」

法定休暇

法定休暇は文字通り法律に定められている休暇を指します。

具体的には、年次有給休暇(労働基準法39条)、産前産後の休業(労働基準法65条)、生理休暇(労働基準法68条)、育児・介護休業(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)、子の看護休暇(育児・介護休業法)および介護休暇(育児・介護休業法)があります。

これらは法律によって当然に認められた労働者の権利なので、要件を満たした申請があれば会社は休暇として認めなければなりません。

特に年次有給休暇については、2019年4月1日から労働基準法の改正により、年に10日以上年次有給休暇が付与されている労働者に対して、最低でも5日の有休を取得させるよう義務付けられ、違反すると企業に対して労働者1人あたり30万円以下の罰金が科せられますので、注意が必要です。

なお有給休暇が付与される条件や日数については、以下の厚労省の解説を参照ください。

    年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています

    リンク先:厚生労働省

法定外(特別)休暇

法定外(特別)休暇は、法律ではなく会社が(就業規則等で)独自に定める休暇のことです。

具体的には、例えば「リフレッシュ休暇」とか「慶弔休暇」というものがありますが、上記の通り会社が独自に決めるものであり、法律上、設定が義務付けられているものではないので名称も条件も日数も千差万別です。

有給か無給かも会社は自由に設定できます(もちろん就業規則で予め決められていることが必要ですが)。

夏休みの定め方

以上が「休日」と「休暇」に関する法律上の規定ですが、では会社はどのような位置づけで夏休みを定めれば良いのでしょうか。

結論として「法定外休暇」として定めることになる

上記の通り会社が任意に定める休みとして「法定外休日」と「法定外休暇」の2つがありますが、夏季休暇は休日として定めるものではありません。休日にしてしまうと、上記の通り、出勤させる際には様々な条件や負担が発生するので、実際、休日として定める会社は無いと思われます。

したがって、「法定外休暇」ということになりますので、いつが夏休みになのか、有給か無給か、そもそも夏休みを設けるのか、といったことも完全に会社の自由になります。

極端な話、夏休みをまったく設けず、「夏の季節にまとまって休みを取りたい場合は、年次有給休暇を使ってください。」とするのも違法ではないのです。

ただ、昔から、夏の季節は帰省やお墓参りをする習慣があることや、ワーク・ライフ・バランスの観点から、夏休みを「法定外休暇」として定めている会社は多いです。

結局は、法律問題というより、その会社が「どれだけ労働者のことを大事にしているか」という、企業としての理念やスタンスの問題と言えます。

年次有給休暇の関係に注意!

会社としては「年次有給休暇を夏休みとして消化させたい」と考えられる場合もあるかもしれませんが、その場合は注意が必要です。

まず、夏休みは会社が独自に定めた「法定外休暇」であり、有給休暇は法律で定められた「法定休暇」ですから、両者は全く別の種類の休暇です。

したがって、もし会社が有給休暇を夏休みとして無断で使い、有給休暇を強制的に消化させた場合は違法となってしまいます。

有給休暇は会社ではなく労働者の権利ですので、有給を使うかどうかを決めるのは労働者でなければならず、会社は強制的に有給休暇を使わせることはできません。

ただし、例外的に、合法的に夏季休暇中に有給休暇を消化させることができる場合があります。

上記の通り、2019年4月より労働基準法が改正され、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して最低年5日の有給休暇を取得させることが義務付けられましたが、予め使用者が時季を指定して一定の日数(※その労働者の付与日数から5日以上を除いた日数)の有給休暇を取得させることが可能となりました。

これを「有給休暇の計画的付与」といいます。

この計画的付与の制度を導入するためには、まず就業規則に「労働者代表との書面による協定により、各労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある」という規定を設ける必要があります。

また、この規定により、労働者の過半数で組織する労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定の締結が必要です。

この2つの条件を満たした場合は、会社が指定する時季に有給休暇を消化させることは違法ではなくなります。

この制度を利用することができれば、有給休暇を夏休みとして消化させることも可能となります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

夏休みに限りませんが、会社の休みの問題においては、「有給休暇」とか「産休育休」という馴染みのある言葉がある反面、法律上の正確な知識が浸透しているとは言い難く、「休日」なのか「休暇」なのか曖昧なまま休みを定めている会社も少なくありません。

しかし、休みというのは、心身ともにリフレッシュし、仕事のモチベーションや健康を維持するために極めて大事なことです。

その休みをめぐって会社と労働者との間でトラブルが生じ、お互いが心身共にストレスを抱えてしまっては本末転倒です。

夏休みに入る前に、もう一度会社の休みの定めがどうなっているかをよく見直し、必要があれば弁護士に相談するなどしてトラブルを未然に防止した上で是非とも楽しく充実した夏休みを過ごしていただければと思います。

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